駿河竹千筋細工展「竹、光。」2026年12月11日より静岡市・匠宿にて開催

發布於: 2026年10月28日 •
駿河竹千筋細工展「竹、光。」2026年12月11日より静岡市・匠宿にて開催

静岡市駿河区丸子にある「駿府の工房 匠宿」は、2026年12月11日(金)から2027年2月8日(月)まで、駿河竹千筋細工の展覧会「竹、光。」を開催します。

竹は弥生時代から人々の生活の一部でした。良質な竹が育つ静岡において、竹は「ハレ」から「ケ」まで幅広く長く使われてきました。本展では、静岡の「竹の文化」に焦点を当て、駿河竹千筋細工などの工芸品の美しさ、職人のこだわりと挑戦、そしてその根底にある風土や土地柄を多角的に見つめます。

特別展示として、日本を代表するインテリアデザイナー・内田繁氏(故人)が1993年に手掛けた組み立て式の茶室「受庵(じゅあん)」を、氏の没後10年を機に公開します。来場者は、駿河竹千筋細工の茶道具が設えられた空間の中に入ることができます。期間中、匠宿全域で、職人と共に丸ひごを作る体験や、かつての工房を再現したモデル製作、展覧会に合わせた期間限定メニューなど、竹を体感する企画が用意されています。展覧会への入場は無料で、予約不要です(工芸体験は予約推奨)。

「竹、光。」――懐かしくて新しい、竹の物語

古来、日本人にとって竹は、日常の道具として、また文化を運ぶものとして親しまれてきた素材です。竹は硬く厚く光を通さないはずのものですが、古くから私たちはそれに対し「光」という言葉を重ねてきました。

竹から生まれた姫が月に帰る『竹取物語』があります。虫籠を吊るし、鈴虫や蛍を飼って、微かな虫の音や柔らかな光を愛でる暮らしがありました。行燈やランプシェードなど、竹ひごで光を包み込み、床や壁に揺らめく影を落とすものもありました。本展では、静岡市の伝統工芸である駿河竹千筋細工と、静岡の生活や文化に深く根ざした竹そのものに注目し、その背後にある日本的な美意識や感性にさまざまな切り口から迫ります。

下から竹を見上げている様子

展覧会コンセプト

草でもなく、木でもない。

芯がないから、しなやかに曲がり、折れない。

やわらかくて、つよい。

竹はまことに不思議な存在である。

だからこそ、古来、人は竹に「光」を重ねてきたのかもしれない。

そこに現れるのは、世界を明るく照らす光ではなく、闇と地続きの光である。

黒と白を分かたぬ、曖昧な世界の美しさと優しさ。

本展では、竹と光という、本来相容れない二つの組み合わせに日本人が託してきたもの、そして私たちが育んできた感性を紐解いていく。

駿河竹千筋細工と光の表現

駿河竹千筋細工は、竹を割った細く丸いひご(丸ひご)を組み立てて作る静岡の伝統工芸です。他産地の竹工芸が平らなひご(平ひご)を編むのに対し、丸ひごの集合体である駿河竹千筋細工は、光がふわりと回り込み、繊細な影を落とします。

本展では、その「周辺」にあるもの、つまりその根底にある思想や感性、このかたちを可能にした土地と作り手に目を向け、駿河竹千筋細工の価値を捉え直します。

静岡で育った多くの人にとって、駿河竹千筋細工は子供の頃に学校の授業で触れた懐かしい存在でもあります。しかし大人になってからは、日常の中で触れる機会は少なくなっています。本展では、この懐かしい手仕事を、現代の暮らしに溶け込む洗練されたプロダクトとして捉え直し、素材としての竹の可能性を提示することで、新たな価値の創造を目指します。

竹のランプが落とす光と影

暗い部屋で竹灯籠を手に持つ人物

駿河竹千筋細工とは

駿河竹千筋細工は、静岡県産の竹を用いた工芸品で、1976年に国の伝統的工芸品に指定されました。その起源は1840年(天保11年)、岡崎藩の藩士・菅沼一我が宿泊先の宿で、清水猪兵衛に技法を伝えたこととされています。

他産地の竹細工が主に平ひごを編むのに対し、丸ひごを使うのが最大の特徴です。直径0.8ミリ前後の極細の丸ひごを、竹に開けた小さな穴に一本ずつ差し込み、自由なかたちに組み上げます。ひご作りから組み立てまで、ほぼ一人の職人が行います。花器や虫籠に加え、現在は照明器具やインテリア小物も制作されており、丸ひごが描く繊細でしなやかな曲線と洗練された造形美は、国内外で高く評価されています。

道具を使って細い竹ひごを削る手

工房で道具を使って竹を加工する手

暗い部屋で灯る竹のランプ

黒い台の上に乗った、細い竹ひごで作られた工芸品

見どころ:展示、体験、ショップ、食で竹を味わう

光と影に包まれる展示空間:和のイルミネーション

メイン会場となる「匠宿伝統工芸館」では、駿河竹千筋細工に使われる道具や現品を解説とともに展示します。作品は行燈を模した什器に配置され、一つひとつを個別にライティングすることで、丸ひごが作り出す影を浮かび上がらせます。会場内は写真・動画撮影が可能です。

特別展示「内田繁デザイン:光る茶室」

日本を代表するインテリアデザイナー・内田繁氏の没後10年を記念し、氏が1993年に設計した組み立て式の茶室「受庵」を公開します。内部から光が漏れ出す茶室には、駿河竹千筋細工の茶道具が設えられ、中に入って空間を楽しむことができます。当時の制作背景を紐解く解説や、内田氏の思考を辿る資料・文献も展示されます。期間中は特別イベントも予定しています。

詳細は後日、公式サイトおよびInstagramにて発表いたします。

内田繁氏と静岡市

1988年、静岡市ではデザイナーを起用し地場産業と商品開発を行う「産地イメージアップ(ダイナミクス)事業」が始まりました。内田氏は初年度からデザイナーの一人として参加し、家具をデザインしました。この事業後も、彼は静岡の木工メーカーや職人に依頼し、福岡市のホテル イル・パラッツォの内装や家具、そして今回展示される茶室を制作しました。これがきっかけとなり、静岡の木工産業は日本のインテリア産業におけるモダンデザインの一翼を担うようになりました。内田氏は晩年まで茶室や日本文化の精神性に深い関心を寄せており、「受庵」はその系譜における初期の作品と位置づけられています。

夜、内から光が漏れる茶室「受庵」

夜匠宿:竹灯りで楽しむ(12月12日・1月9日開催)

匠宿では、月に一度、20:00まで営業時間を延長する「夜匠宿」を行っています。期間中に開催される夜匠宿では、その日限りの提灯づくり体験も実施します。「竹と光」をテーマにした和の灯りをお楽しみください。

匠宿のある周辺は、山に囲まれた静かな里山で、かつて日本各地で見られた風景が残り、自然の恵みを受けながら人が暮らしています。「闇」に沈む外と、ランプが照らす「中」が緩やかに繋がります。展覧会のテーマである「闇と地続きの光」という日本の光の表現を体験するには夜がふさわしく、昼間とは異なる顔を見せてくれるはずです。

駿府の工房 匠宿(外観)

「作る」の裏側

竹という「植物」を、一本の「パーツ」に変えていく作業には、膨大な手間と時間がかかります。会場では、素材集めから加工までの工程を、実際に使用される道具や素材とともに追い、スタイルの変化や職人の挑戦を紹介します。

木製の道具や素材が入った箱

期間限定の工芸体験

職人と一緒に丸ひご作り体験(「竹ガチャ」付き)

駿河竹千筋細工を構成する最も重要なパーツが、丸ひごです。本体験では、通常体験では行わない丸ひご作りを体験できます。職人から直接指導を受けながら、竹から丸ひごへと仕上げる職人技に挑戦できます。体験には、本展オリジナルの缶バッジが当たる「竹ガチャ」が付いてきます。

道具を使って丸ひごを作る手

  • 開催日:
    • 2026年:12月12日(土)、13日(日)、19日(土)、20日(日)、26日(土)、27日(日)
    • 2027年:1月1日(金・祝)、2日(土)、3日(日)、9日(土)、10日(日)、11日(月・祝)、16日(土)、17日(日)、23日(土)、24日(日)、30日(土)、31日(日)、2月6日(土)、7日(日)
  • 時間: 10:00〜 / 13:00〜
  • 所要時間: 30分
  • 定員: 各回5名
  • 料金: 1,000円
  • 対象: 12歳以上
  • 予約: 匠宿公式サイトの予約フォームまたは電話

復刻・駿河竹千筋細工ワークショップ

過去に人気だった二つの体験が展覧会期間限定で復活します。可愛らしい球体の花器「こだま」と、ひごの差し方を選べるペン立て「つたの細道」です。講師が指導するため、初めての方でも問題なく完成させられます。

赤い実が飾られた花器「こだま」

ペン立て「つたの細道」

花器「こだま」

  • 開始日: 2026年12月11日(金)〜
  • 時間: 9:30〜16:00(随時受付)
  • 所要時間: 70分
  • 料金: 5,000円
  • 対象: 12歳以上
  • 予約: 匠宿公式サイト予約フォーム、電話、または当日受付(スタッフまで)

ペン立て「つたの細道」

  • 開始日: 2027年1月1日(金・祝)〜
  • 時間: 9:30〜17:00(随時受付)
  • 所要時間: 30分
  • 料金: 3,500円
  • 対象: 6歳以上
  • 予約: 匠宿公式サイト予約フォーム、電話、または当日受付(スタッフまで)

柔らかな灯りの「ぼんぼり提灯」作り(期間中2日間限定)

持ち手付きの丸い提灯を製作します。「夜匠宿」開催日のみの実施で、2026年12月12日(土)と2027年1月9日(土)の2日間を予定しています。

植物の横で灯るぼんぼり提灯

ロウソクが灯るぼんぼり提灯

  • 開催日: 12月12日(土)、1月9日(土)
  • 時間: 15:00〜19:00
  • 所要時間: 60分
  • 料金: 5,800円
  • 予約: 匠宿LINE会員限定

伝統工芸士・杉山茂靖による工芸教室

本展限定の工芸教室で、講師は駿河竹千筋細工伝統工芸士であり、工房「竹と染」の竹細工部門責任者である杉山茂靖(すぎやま しげやす)が務めます。デモンストレーションや解説を聞きながら、立方体のランプ「CUBE」を制作します。

立方体のランプ「CUBE」

杉山茂靖について

駿河竹千筋細工の伝統工芸士であり、工房「竹と染」の竹細工部門責任者。大正時代から続く「みやび行燈製作所」の三男として、兄弟とともに駿河竹千筋細工の家業を継承。自身の制作に加え、駿河竹千筋細工協同組合の一員として、メディア出演や教育機関での実演・講演を行っており、駿河竹千筋細工の魅力から工芸に宿る「わびさび」といった日本文化の本質まで、ものづくりの最前線から日本の「伝統」を伝えている。親しみやすい人柄と、小学生からシニアまで幅広い層に分かりやすく語るライブ感あふれる解説で知られる。

笑顔で竹ひごを扱う職人

  • 開催日: 2026年12月28日(月)、2027年1月18日(月)、2月1日(月)
  • 時間: 13:00〜
  • 所要時間: 120分
  • 定員: 各回5名
  • 料金: 8,800円
  • 予約: 匠宿LINE会員限定

味わい、泊まり、竹を持ち帰る

期間限定カフェメニュー

匠宿内のカフェでは、展覧会に合わせて「千筋」をイメージした特別なデザートなどの期間限定メニューを提供します。

Cafe HACHI & MITSU

「竹炭プリンと丸子紅茶」 1,000円

竹の静かな美しさをイメージした深い色味の竹炭プリンに、香り高い丸子紅茶を添えて。伝統工芸をより身近に感じ、日常へ気軽に取り入れてほしいという想いから、竹炭を使用した黒いプリンの器の下には、駿河竹千筋細工のコースターが敷かれています。

  • セット販売のみ、単品提供なし
  • 販売期間: 2027年1月7日(木)〜1月29日(金)
  • 平日カフェタイム限定、14:00〜提供

竹炭プリンと紅茶のセット

The COFFEE ROASTER in WAKAMATSU

「千の筋を重ねるティラミスパフェセット」 2,400円

駿河竹千筋細工の繊細な線をイメージしたティラミスパフェとコーヒーのペアリングセット。ゲスト自身が黒蜜ソースで自由に線を重ね、好みの模様と味わいに仕上げます。最後の「一筋」は、ゲストの手によって完成します。

トレイに乗ったティラミスパフェ

パフェに黒蜜ソースをかけている様子

「工芸ノ宿 和楽」で竹に囲まれて泊まる

「工芸ノ宿 和楽」は、匠宿エリアにある一棟貸しの古民家宿です。全室に駿河竹千筋細工をはじめとした静岡の工芸品が設えられています。展覧会期間中は、「竹、光。」の世界観に合わせた特別室をご用意しています。

詳細は工芸ノ宿 和楽の公式サイトにて後日発表:https://craftinn-waraku.jp/

工芸ノ宿 和楽の客室(吊り下げランプ付き)

写真は通常客室です。

ショップとギャラリー

各ショップでは、展覧会で心に残った作品を持ち帰れるよう、駿河竹千筋細工関連の商品を販売しています。

静岡の食と暮らしのセレクトショップ「コトコトSTORE」では、ギフトにも適した駿河竹千筋細工を取り扱います。ギャラリー「TetoTeto」では、日常やファッションに取り入れられる照明や籠バッグなどを扱います。期間中は、展示販売を兼ねた企画展も開催されます(2027年1月1日(金・祝)〜2月8日(月))。

テーブルの上にある竹の籠

※プログラムの内容は暫定的なもので、予告なく変更される場合があります。最新情報や工芸体験の予約は公式サイトおよび公式Instagramをご確認ください。

展覧会概要

  • 名称: 駿河竹千筋細工展覧会「竹、光。」
  • 会期: 2026年12月11日(金)〜2027年2月8日(月)
  • 開館時間: 9:30〜17:30(会場により異なる)。年末年始は営業日・時間が変動します。最新情報は匠宿公式サイトをご確認ください。
  • 公式サイト: https://takumishuku.jp/news/take_hikari_exhibition/
  • 会場: 駿府の工房 匠宿(静岡市駿河区丸子3240-1)および周辺施設(匠宿エリア)
    • 展示:匠宿伝統工芸館 常設展示場
    • 体験:工房 竹と染(竹細工部門)
    • ショップ:コトコトSTORE、ギャラリーTetoTeto
    • 期間限定カフェ:Cafe HACHI & MITSU、The COFFEE ROASTER in WAKAMATSU
  • 参加方法: 入場無料、予約不要(展示観覧は無料)。一部有料コンテンツ(工房での工芸体験等)あり。体験は人数制限があるため事前予約を推奨。
  • 主催: 駿府の工房 匠宿(指定管理者:株式会社創造舎)
  • 協力: 駿河竹千筋細工協同組合 / 内田デザイン研究所
  • 後援: 静岡特産工業協会 / 公益財団法人静岡産業振興協会

駿府の工房 匠宿へのアクセス

  • 営業時間: 9:30〜18:00
  • 定休日: 火曜日(祝日の場合は営業し、翌平日休業)
  • 所在地: 静岡市駿河区丸子3240-1
  • 車でお越しの方:
    • 静清バイパス:丸子IC出口より東へ200m
    • 東名高速道路:静岡ICより約7km(約15分)、または焼津ICより約15km(約30分)
    • 新東名高速道路:新静岡ICより約15km(約20分)、または静岡スマートICより約9km(約16分)
  • バスでお越しの方: JR静岡駅北口7番乗り場より、しずてつジャストライン「中部国道線」藤枝駅行きに乗車。「吐月峰駿府匠宿入口」下車、徒歩約5分。
  • 公式サイト: https://takumishuku.jp/
  • Instagram: https://www.instagram.com/sunpu_takumishuku