鎌谷徹太郎個展「虚実の閾」が京都・両足院にて開催

發布於: 2026年11月2日 •
鎌谷徹太郎個展「虚実の閾」が京都・両足院にて開催

現代美術家・鎌谷徹太郎(Tetsutaro Kamatani)の個展「虚実の閾」が、2026年12月6日(日)から12月23日(水)まで、京都の禅寺・両足院(りょうそくいん)にて開催されます。

鎌谷は東京とニューヨークを拠点に活動する現代美術家です。20年以上にわたり、絵画を核としながら、異なる素材や技法を行き来し、立体作品や空間へと表現を拡張することで、「コラージュ」の可能性を追求してきました。その作品は、自然や生命を想起させる有機的な形態や装飾的なディテール、そして支持体全体を覆う圧倒的な密度で積み重ねられた多様なイメージのレイヤーによって形作られています。同時に、その密度は、鑑賞者の視線を作品の外へと誘い、作品を取り巻く「余白」へと向かわせる力を持っています。また、見る距離や視点によって表情が変化し、奥行きを生み出すことも特徴です。

本展では、鎌谷の表現が両足院という場に拡張され、作品と場所の関係性を体感する展覧会となります。

作品、庭園、音が共鳴する両足院

両足院は、京都の花街・祇園に隣接し、600年以上の歴史を持つ禅寺です。1358年、龍山徳見(りゅうざんとっけん)禅師の遷化に際し、その法嗣によって開創されました。室町時代から江戸時代にかけては、長谷川等伯や伊藤若冲といった美術界の重鎮や、上田秋成などの文人が足繁く通いました。書画や禅籍、茶器などを通じた交流は、美術・工芸・文学が交差する文化交流の場として機能していました。近年では、国内外の現代美術家による展覧会も積極的に行われており、掛軸や襖絵、庭園を含めたランドスケープを用いたインスタレーションなどが、両足院の空間や風景と呼応しています。その歴史と伝統を継承しながら、新しい禅のあり方を模索しつつ、現代的な芸術表現を積極的に受け入れています。

本展は、通常は非公開である方丈(ほうじょう)と大書院を中心に、両足院全体と応答するような展示構成を予定しています。大書院では、そこから見える庭園から着想を得た、高さ約2.1m、幅約8.3mに及ぶ大屏風が展示されます。実際の庭園の眺めと、描かれた世界が重なり合う、両足院ならではの展示となるでしょう。

12月19日(土)には、冥丁(Meitei)を迎えた一日限定のスペシャルパフォーマンス「冥丁 × 鎌谷徹太郎 × 両足院」が開催されます。冥丁は、失われたとしても自明でありながら微かな存在として残る日本の情景を「失日本」と名付け、独自の音楽表現を続けています。両足院という空間における鎌谷の作品と、本展のために冥丁が書き下ろした新作が響き合い、この場所、この時にしか現れない情景を生み出します。

会場では、両足院と共鳴する鎌谷の作品世界をご体感いただけます。

両足院の庭園

アーティストステートメント:「虚実の閾」

そこにひとつの庭がある。その庭に向き合うように、大きな屏風が立てられている。

庭には石があり、木があり、水がある。屏風の表面には、無数の透明で艶やかなドットがある。

その二つは、互いに似ているわけではない。むしろ、まったく別々の方法で世界をつくり上げている。

石や木や草や水は、重さを持ち、ある場所に鎮座し、季節とともに変化する。

鎌谷の絵画において、その庭は色や色の領域にまで解体され、極めて触覚的な「点描」として固定されている。

絵画は光を反射し、まず私たちの目に飛び込んでくる。そうして、庭は目の中において存在し始める。

実際の庭を「実」、描かれた絵を「虚」と考えるのが通例かもしれない。

しかし、庭とは決して生の自然ではなく、構成された自然である。

一方で、鎌谷が描く庭は、確固たる物質として存在する。「虚像」ではなく、目に作用する「モノ」として存在している。

つまり、どちらも虚と実を行き来する経験である。

自然物の空間的な配置と、「モノとしての色彩」の網膜的な配置。

庭は「背景」ではなく、絵画は「再現」ではない。

庭の中に作品が溶け出し、作品からの光の呼吸が庭へと広がっていく。

人とアートの間、視覚と触覚の間、風景と自然の間、虚と実の間。この展覧会は、まるで揺らぎながら存在している。

アーティストについて

鎌谷徹太郎(Tetsutaro Kamatani)

1979年大阪生まれ。東京とニューヨークを拠点に活動する現代美術家。

高度資本主義とイメージの関係性に対する鋭い洞察を基盤に、アプロプリエーション(流用)やシミュレーションを絵画へと昇華させた作品で、日本のアートシーンで注目を集める。その後、20年以上にわたり、絵画における「コラージュ」の可能性を追求。自ら開発した素材を用い、金色のラインと鮮やかな顔料の配置で構成される現在の作品群は、その探求の一つの到達点と言える。

イメージと物質が高度な密度で交差する壮大な絵画世界は、美術関係者やコレクターからも高く評価されており、その評判はグローバルな規模で広がっている。

制作中の鎌谷徹太郎

近年の主な展覧会・活動

  • 2026年:画集出版記念個展「表層の彼方」(LIVE ART GALLERY、東京)
  • 2025年:「GOLDEN CLOUDS」(Pellas Gallery、ボストン)
  • 2024年:「Resonance of Tradition and Innovation」(Pellas Gallery、ボストン)
  • 2024年:TATSUNO ART PROJECT #00 キュレーション展「Regenergize(生命が響き合う共生の輪)」(大阪)
  • 2023年:英国王立園芸協会主催「チェルシー・フラワー・ショー」にて、建築家・隈研吾、庭園デザイナー・石原和幸とコラボレーションし、ゴールドメダルを受賞
  • 2023年:「超複製技術時代の芸術 NFTはアートの何を変えるのか?」(GYRE GALLERY、東京)
  • 2023年:「art stage OSAKA 2023 - すべてが計算された世界でまだ祈るべきものは残されているのか」(グランキューブ大阪、大阪)

主なコレクション

ゲーザ・フォン・ハプスブルク大公、グロリア・スター・キンズ、レイチェル・リーマン、デヴィッド・クレイグ・テプリツキをはじめ、国内外の個人・企業コレクションに作品が収蔵されている。

代表作品

鮮やかな色彩と多様なモチーフを重ね合わせ、高密度な画面を構築する。そこには、現実と想像、記憶と文化が交差する独自の死生観が描き出されている。

鎌谷徹太郎の代表作

鎌谷徹太郎の代表作

一日限定スペシャルパフォーマンス「冥丁 × 鎌谷徹太郎 × 両足院」

12月19日(土)、「冥丁 × 鎌谷徹太郎 × 両足院」と題したコラボレーションとして、本展のために書き下ろされた新作を音楽家・冥丁が初演します。一日限定のスペシャルパフォーマンスにおいて、鎌谷の作品、両足院の空間、そして冥丁のサウンドが互いに共鳴します。申し込みの詳細は公式サイトをご覧ください。

冥丁(Meitei)

「失日本」から音楽的な「形式」を創造する

広島県尾道市出身、京都を拠点に活動する音楽家。

誰もが感じながら言葉にできない、日本のかすかな印象を「自明でありながら微かな存在として漂う日本」として「失日本」と名付けた。現代の音楽テクノロジーを用い、伝統的な日本の印象を編集することで、自身の文化や感性から出発する音楽の「形式」を提示し続けている。『怪談』『小町』『古風』の三部作は国内外で高い評価を受け、The WireやPitchforkなど海外の主要音楽メディアでも取り上げられた。近年では寺社、文化財、美術館、博物館などへも活動の場を広げている。

冥丁
写真:岡本裕志

近年の活動

  • 2026年:世界遺産・音羽山清水寺の本堂舞台にて奉納演奏
  • 2026年:アルバム『瑪瑙』をリリースし、三夜沢赤城神社、和歌山城にてツアーを開催
  • 2026年:東京都写真美術館にて「恵比寿映像祭」に参加

開催概要

鎌谷徹太郎「虚実の閾」

会期:2026年12月6日(日)〜12月23日(水)

時間:13:00 – 17:00(最終入場 16:30)

会場:両足院

所在地:京都府京都市東山区大和大路通四条下る4丁目小松町591

入場料:一般 1,000円 / 中高生 500円 / 小学生以下 無料

公式サイト:https://tetsutarokamatani-exhibition.com

主催:imi株式会社

共催:GALLERY.S / 株式会社enigma

特別協力:両足院

※以下の点にご注意ください。

  • 12月19日(土)は、スペシャルパフォーマンス「冥丁 × 鎌谷徹太郎 × 両足院」開催のため、一般公開は休止となります。
  • 中高生は学生証の提示が必要です。
  • 障害者手帳などをお持ちの方と、その付き添いの方1名は無料となります。